今回は年金の"繰上げ・繰下げ"受給開始年齢について考えてみました!
ネットの記事や年金関連の情報を見ると「年金は繰上げ、繰下げどっちが得なの?」、「損益分岐点はいつなのか?」、「いつ死ぬかわからないから早く受け取るのがイイ!」といった"年金の受給開始年齢"に関するテーマが多く見られます。
私の場合は繰上げ(65歳より早く受給開始)は考えていません。65歳以降も就業できる場合は老齢厚生年金を65歳から受給し、老齢基礎年金(国民年金)だけを66歳以降に繰り下げて受給する予定です。また、65歳以降に就業できない場合は老齢厚生年金と老齢基礎年金両方を65歳から受給する予定です。
以下に年金受給開始年齢が近づきつつある筆者なりの考えを掲載しましたので参考にしていただければ幸いです。
※この記事は筆者個人の意見や筆者自身の実例を基礎にしています。年金受給開始時期については個人の状況・条件を考慮の上慎重に判断してください。
年金の"繰上げ・繰下げ"どっちが得なのか?
さて、そもそも年金の受給について損得で考えるべきものでしょうか?
私は年金受給開始年齢について損得勘定ではないと考えています。
✔︎年金は保険
年金の加入者のことを"被保険者"と言います。"1号被保険者"(国民年金)、"2号被保険者"(厚生年金)、"3号被保険者"(2号被保険者の配偶者)という表現を見たり聞いたりすることがあると思います。
年金は保険です。一般に保険はほとんどが掛け捨てで、得する保険というのはありません。厳密にいうと年金は一般の保険とは性質が異なります。一般の保険は一部を除いて病気も怪我も事故もなければ何も受け取ることはありませんが、年金は掛け金を一定期間支払えば金額の多い少ないは別にして必ず条件を満たす時期から年金を受け取ることができます。
"一般の保険は万が一の場合に備える保険"です。"年金は国から強制されるが、定められた時期から死ぬまで必ず受け取る"ことのできる保険です。
保険ですからそもそも"損得の話ではない"、ということです。
✔︎年金には貯蓄にはないメリットがある
よく「貰えるか貰えないかわからない年金の掛け金を支払うより貯蓄の方が良い」という情報を見ることがあります。
果たしてそうでしょうか?
貯蓄は使い切れば終わりですが、年金は死ぬまで受け取ることができます。つまり長生きリスクに備える保険です。
先ほどの「貯蓄の方が良い」という方は本当に貯蓄ができるでしょうか?人間は楽な方に流れます。年金を支払わない分を必ず貯蓄に充てることができるでしょうか?
私はこれまで年金の保険金を合計で約2000万円(個人負担分)ほど支払いました。ここで、「会社が同額を負担しているので合計で4000万円でしょ!」という方がいるでしょう。しかし、年金を受け取るのは個人ですので損得勘定としては会社負担分は除きます。
2000万円を貯蓄できたとして、持ち家とか他にも貯蓄があれば、うまくすると10年くらいは暮らせるでしょう。でもその後、さらに長生きすればどうでしょうか?95歳くらいまで生きるとしたら持ち堪えることはできるのでしょうか?
年金はじっとしていても、受給開始年齢に申請さえすれば死ぬまで受け取れます。これは年金の最大のメリットです。
関連記事→厚生年金はいくらもらえるのか?ある会社員の実例を紹介!
死んだら本人には損得がわからない!
項目の表題通り、「死んだら本人には何もわからない!」です。
損得勘定をどれだけやっても死んだら本人には何もわかりません。死んでから損得勘定をする人はいないでしょう。
人間は必ず死にますが、いつ死ぬのか?については誰もわかりません。わからないことを考えるのはエネルギーが無駄です。
一方で、死後の準備をすることは大切です。私の場合はいつ死んでも家族が困らないように、死後の各種手続きを書面やデータにして家族に「死んだらこれを見て必要な手続きをしてください」と託しています。
"死後の準備"いわゆる終活については別に機会があれば掲載します。
毎月受け取る金額は多い方が良い!
ここまで、"損得勘定は意味がない"とお伝えしました。
では何が重要なのか?ということです。
長期的な損得勘定よりも"毎月の受給額"の方が重要です。
よほどのお金持ちまたは高額の不労所得をお持ちでなければ、毎月(厳密には2ヶ月毎に2ヶ月分)受け取る年金から生活費を捻出します。残れば貯蓄、足りなければ他の貯蓄などから不足分を充当することになります。
できれば不足は避けたいし、不足があったとしても不足額はできるだけ減らしたいものです。
このように考えると受給額を増やす、逆に減らすということを考えることが重要になってきます。ここで「受給額が多い方が良い」と言っているのに「減らす」とはどういうことか?と思う方もいると思います。
別の機会に譲りますが、年間の受給額(現在は211万円の壁)によっては様々なメリットがありますので、個人の収入源などを考慮してこの211万円の壁付近の方は受給額をコントロールすることも重要になってきます。
本題に戻しますが、私の場合は211万円の壁を下回るように調整するのは現実的ではないので、受給額を増やす方法を探っています。
既出の通り、毎月の受給額が多い方が良いので、どのように受給額を増やすのかを検討しています。
すでに述べたとおり、老齢基礎年金(2号被保険の国民年金部分)のみを繰り下げて、少しでも受給額を増やそうと算段しています。
私の場合、不労所得はありませんので、特に65歳以降に就業できるか否がその鍵を握ることになります。
生活環境・就業状態など条件を確認しよう!
ここまでくると、次は生活環境や条件、就業状態が年金の受給開始時期の判断に影響を与えます。
✔︎65歳以降の年金受給予定額
私の場合の65歳以降の受給予定額は"約19万円"です。これは老齢基礎年金と老齢厚生年金の合算です。歳下の配偶者がいますので、妻自身の年金受給開始まで加給年金が受給できますがこれは加えていません。
まず、ご自身の受給予定額を確認しましょう。十分足りるのであれば、繰下げの必要性はありませんし、不足分があり、少しでも不足を解消したいのであれば繰下げによる受給額の増額ができないか、と言う点も視野に入ります。
ただし、65歳以降の収入がない場合の繰下げはリスクがありますので、慎重に検討するのが賢明でしょう。
✔︎65歳以降の就業予定
今のところ、64歳11ヶ月で退職予定ですが、65歳以降も就業ができるようなら、老齢厚生年金を65歳からの既定時期に受給を開始し、老齢基礎年金を66歳以降の就業を終える時期まで繰り下げる予定です。
繰下げを選ぶ場合は66歳以降から受給開始時期を選ぶことが可能になります。逆に言うと繰下げを選ぶ場合は65歳の途中で受給開始をすることができませんので注意が必要です。
老齢厚生年金だけ65歳から受給開始する理由は私には歳下の配偶者(妻)がおり、加給年金の受給条件に当てはまるため、この加給年金を受給するためです。
このように65歳以降も就業できる場合は繰下げを検討することも視野に入ります。
✔︎生活基盤
次に生活基盤や条件も考慮しておく必要があります。生活に必要な固定費は必ず確認しましょう。
・持ち家なのか賃貸なのか
これは家賃負担が関係してきますので重要です。持ち家の場合は固定資産税の負担がありますが、余程の高級住宅街か土地面積が広くなければ大きな負担にはなりません。
・単身世帯なのか家族がいるのか
単身であればご自身の年金収入と支出だけを考えれば良いのですが、配偶者や家族がいる場合は配偶者の年金や生活に必要な費用も考慮しておく必要があります。
私の場合は配偶者(妻)と2人ですので、夫婦2人での生活を想定して繰下げも選択肢に加えています。
なお子供が2人いますが、すでに社会人ですので65歳以降の生活設計には条件として加えていません。
まとめ
年金の受給開始は損得ではなく月額の受給額を重視すると言う考え方を中心にしました。
これはあくまでも、筆者個人の考えです。
選択肢や考え方は様々です。
ご自身の年金額、家族構成、生活基盤、就業状態など様々な条件を考慮して、検討してみてください。